小学生2人の子育てをしながら家業を手伝う主婦の香奈さん(岩出市・31)は、SNS・インスタグラムで家庭料理の写真を中心に公開し、約4万8000人のフォロワーを持つ「インフルエンサー」としての顔を持っている。

 「インフルエンサー」とは、多くの人に影響力を持つ人物のことで、香奈さんが料理写真などを投稿すれば1万人以上の人が閲覧。レシピや食材、器、端に写り込んでいる無関係の物に至るまでを多くの人が見ることになるため、時間や場所を選ばずに情報発信できるメディアを持っていることを意味する。

 香奈さんが投稿するのは主に「節約メニューに見えないごはん」。4人家族で月の食費が3万3000円~3万5000円で、近隣のスーパーなどで購入できる一般的な食材や食器を使用し、撮影も特別な機材は使わずスマートフォンで行っているという。

 多くの人が目にするということは、そこにビジネスチャンスが生まれる。料理の食材や器など関連商品はもちろん美容や健康グッズなどもPRしており、その収入は月によって増減があるものの「パート程度」という。またPR用に送られてくる商品は企業からもらえることが多く、飲食店の紹介をすれば食事がサービスされたり、食事券をもらえたりと、金銭的な収入以外にも多くのメリットがある。

 このようにSNSなどで商品やサービスをPRする人のことを「アンバサダー」というが、ではなぜ子育てや家業を手伝いながら、このように多くのフォロワーを獲得することができたのか。

 香奈さんがネットでの情報発信を始めたのは、出産・育児を始めた10年ほど前。当時はブログで子育てなどプライベートを綴っていただけで、料理に関する投稿はなく、むしろ料理は苦手な方だったという。料理投稿を始めるきっかけとなったのは、約5年前の夫婦喧嘩。「主人と大ゲンカをしたことで自分を見つめ直したとき、何も取り柄がないと感じました。食べることが大好きな主人を喜ばせるために、料理を上手くなってやる!と心に決めました」。

 それから料理づくりに励むようになり、自分の作った料理を記録用に撮影。撮り貯めた写真を見返したとき「不味そう」に感じたといい、見た目を良くすることも勉強し始めた。やがて料理写真をSNSに投稿するようになり、「人に見てもらう」ことを意識するようになっていった。

普通の家庭料理を投稿しながら、このように多くの人に影響力を与えるまでに至った秘訣については「特別なことはない。むしろ普通の主婦にも真似できそう、その日の献立の参考になる、という親近感があるのでは」と分析しつつも「自宅でハーブやネギを育てていて、ちょっとした彩りや見せ方」や、SNSの活用法については「新しい訪問者の半分は♯(ハッシュタグ)から。他の人の投稿もこまめにチェックして、いいと感じたものには、その時すぐに“いいね!”するなどのアクションが、新しい出会いや仕事に繋がる場合もあるので大事です」と話してくれた。

 香奈さん自身が語るように、1つひとつ挙げれば「インフルエンサー」と普通のプライベートユーザーとの特別な違いを見つけることはできなかったが「野心家で、どうすれば仕事に結びつくかを常に考えている」というこだわりが随所に感じられた。企業からの要請もあり、月の半分は投稿スケジュールが決まっているなか「いかにPRだとわかりにくいようにするか、ページ全体のカラーや内容のバランスにも気を使っている」という細やかなこだわりが詰まっている。

 インスタグラムは写真を配信することに特化しているが、「YouTube」や「Tik Tok」など動画配信に主流は移りつつあり、香奈さんの関心もそこにあるという。また現在、仕事依頼の9割は東京の企業からだといい、和歌山の企業や自治体とタイアップし、SNSを活用した広報手段が商品サービスのPRだけでなく、観光の振興にも繋がるということを広めていきたいと展望している。