トルコ雑貨の輸入卸販売や、白浜町でトルコ風カフェレストラン「紬カフェ」を運営する㈱KCRの代表取締役。和歌山とトルコの友好関係の礎となった129年前の「エルトゥールル号遭難事件」を題材とした歴史絵本「タイヨウのくにとツキのふね」を出版するなど、和歌山とトルコを結ぶ事業を展開している。

「タイヨウのくにとツキのふね」を購入する

 串本町出身の本田さんは、高校卒業後に上京。広告関連の会社を設立するなど活躍し、2011年に帰郷した。串本町とトルコの友好を示す事象は幼いころから町内各地にあったものの、強く認識するようになったのは帰郷後だったという。「エルトゥールル号遭難事件をきっかけに串本、和歌山とトルコは文化的な結びつきが強いことを知り、この地域資源を生かして和歌山とトルコが観光や経済面でもより深く繋がることができるのでは」という思いから2013年に同社を設立した。

 県を代表する観光地・白浜町を拠点に、ホテルでのトルコ雑貨の輸入卸販売、リゾートマンション内でトルコ風カフェレストラン「紬カフェ」をオープン、またトルコの名物グルメであるケバブを「太陽のケバブ」としてイベント会場などで移動販売するなど、トルコに関連する事業を次々に立ち上げてきた。

 また2018年には、歴史絵本「タイヨウのくにとツキのふね」を出版。「エルトゥールル号遭難事件」をベースにして創作された物語で、トルコとの友好の原点であり同社設立のきっかけにもなったエピソードをより広く伝え、親子でともに学び受け継いでいってほしいという思いが込められている。

 絵本の制作にはクラウドファンディングを活用。多くの共感を呼び、ようやく出版が実現した。県内各地の書店やホテルのみやげものコーナー、インターネットなどで販売されるほか、クラウドファンディングで集めた資金を使い、全国の図書館や県内の小学校など520カ所に寄贈する。

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「東京にいたころや会社を設立したころは、自分の成功や周りの人を導くために目先の売上を重視してきた面もありましたが、事業を進めていくうちに元々存在しないマーケットを広げていくことの難しさを痛感しました。目先のことだけではなく、和歌山とトルコの関係を未来に伝え、子どもたちの世代にも根付かせ、そこに会社としての居場所を見つけていきたい」。本田さんの心境の変化の背景には、結婚、そして生まれたばかりの愛娘の存在もあるのかもしれない。

 さらに3月には串本町のTSUTAYAWAY串本店内に「ブック&トルキッシュバザー・タイヨウのカフェ」をオープン。念願の串本町への出店とともに故郷への凱旋を果たす。

 TSUTAYAと協働で書店内に併設されるカフェで、カフェ運営で培った経験を生かした店づくりのほか、トルコ雑貨の販売コーナーや絵本の周知にもつながるだけでなく、低迷する書店、レンタル事業に苦しむTSUTAYA側にとっても新たな集客を目指す起爆剤となり、双方の思惑が一致した事業になる。

 「ふとしたきっかけで始めた事業でしたが、今では自分や家族、会社を支える大きな存在になりました。129年も前の出来事が与えてくれた今日の和歌山とトルコの友好の歴史を未来に伝え続け、和歌山にトルコの経済マーケットをつくりたい」。

 会社設立から5年。さまざまな思いを胸に持ちながらも、和歌山とトルコをつなぐことにはブレずに向き合ってきた本田さんの思いが今、ひとつの結実の時を迎えようとしている。

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