古座川町 社会 観光

「ありのままの古座川の魅力を全国・世界へ!」県内で最も若く新しい観光協会の挑戦

高速道路の延伸工事が始まり、国内外の大手ホテルが進出。また2021年ころには民間小型ロケットの打ち上げが串本町で行われる計画もあり、今後の活況が予想される東牟婁地方。雄大な自然美が最大の特長として観光業の発展が期待されるなか、県内で唯一、観光協会を持たない自治体であった古座川町にも、昨年9月に観光協会が設立。30代~40代前半の若者からなる主要メンバーに、今後の町の展望を聞いた。

 古座川町には、高さ約150m・幅約800mの一枚の巨岩「一枚岩」をはじめ、太古の岩肌が約1kmにわたり露出した渓流瀑「滝の拝」、七川ダム湖畔に約3000本の桜が咲き「日本さくら名所100選」に選定されている「佐田の桜」など、自然美を生かした多くの観光スポットがある。

 町の名が示すとおり、クリスタルリバーとも呼ばれ、全国でも屈指の透明度と多様な動植物の宝庫である清流・古座川が町の観光や生活の中心。周辺では四季折々の自然美を観賞できるだけでなく、鮎釣りやカヌーなどでの川下り、古座街道ウォーキングなど、大自然を生かした体験型観光が楽しめることで多くの観光客が訪れている。

 一方で、世界遺産として全国・海外から多くの観光客を集める「高野山・熊野古道」や南紀白浜などの主要な観光スポットからは地理的にも離れ、とりわけ外国人観光客の誘致に関しては遅れをとっているという。

 しかし、副会長の森武志さん(43)は「清流・古座川の水に支えられた人々の暮らしや文化・伝統などは他所にはない古座川町だけのもの。大型施設の建設や大規模なPR活動に頼らずとも、背伸びしないありのままの姿を見て感じていただければ、全国・世界の方に満足していただけると信じています」と、今ある資源を活用することで道は開けるという。

“美食”も町の大きな魅力だ。古座川の恵みである鮎や手長エビ料理のほか、特産品の柚子とその加工品は町を代表するグルメとして旅館や道の駅などで食すことができる。

 また、農家の大敵として大きな被害を与えているイノシシや鹿などを食肉として利用する「ジビエ料理」の試みはここ古座川町でも盛んで、2015年に食肉処理加工施設「山の光工房」がオープン。狩猟や罠などで捕らえたイノシシや鹿などを加工し「古座川ジビエ」として販売。最高ランクの鹿肉は「古座川清流鹿・金もみじ」としてブランド化し、町内の旅館や道の駅などで食すことができるほか、インターネットでの販売も行っている。

 協会事務局長の木下昂さん(31)は、狩猟免許を持ち、若くして猟師として活動している。「古座川でも獣害は深刻で、多くの農家が長年被害に苦しんできました。ジビエが町の名産品として定着すれば同時に農家の被害が減らせるので、町にとって重要な事業です」というが、猟師の担い手不足も課題だ。

 ジビエ料理を宿泊客だけでなく、外来でのランチタイムにも手軽に楽しめる温泉旅館「南紀月の瀬温泉・ぼたん荘」で料理長を務める深海政也さん(42)は、観光協会の副会長も務めている。「古座川ジビエや町の特産グルメは、町の魅力を知っていただく絶好のツール。ぼたん荘では他にも、野生の鹿を観察するナイトディアーツアーや、ホタル、星空観賞など大自然を身近に感じられる、ここにしかないイベントを行っています」。

 大自然の恵みとともに歩んできた古座川町。その次世代の担い手である若者からなる観光協会のホームページが3月に立ち上がる。須川陽介会長(35)は「古座川町には魅力がたくさんあります。それをより輝かせるために、まず地元の人が町に誇りを持って生きていかないといけない。協会ホームページでは、単に観光スポットを一方的に発信するだけではなく、住民が一体となって街の魅力を発信していけるようなものにしていきたい」と展望している。

 一見すれば過疎高齢化に苦しむ小さな町に、町の魅力と将来に自信を持って生きる若者がいる。1400万年もの時間に育まれた大自然の遺産に匹敵する財産だ。ぼたん荘のロビーで町の魅力を力強く語る彼らの表情に、古座川町の明るい未来が見えた。

 ぼたん荘では3月3日(日)から「古座川さくらフェア」を開催。また31日(日)には七川ダム湖畔で「佐田の桜まつり」が開催される。「古座川ジビエ」のホームページはhttps://kozagawa-gibier.jp/。

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